[HOME]

[スイス銀行口座開設のご相談]

[緊急 香港に銀行口座をお持ちの方へ]

 

アメリカ化するスイス銀行、アメリカ化しないスイス銀行

 

 

 サブプライム・ローン問題に端を発する金融危機が世界を覆う直前のことです。

日本経済が低空飛行を続けるのをよそに、世界経済はかつてないほどの好況に沸いていました。

 その頃に出された、スイス最大の銀行であるUBSの年次報告書を見ると、まさに「わが世の春」を謳歌するようすが見てとれます。分厚い報告書には、詳細な財務諸表に先立ち、遠大な「企業ビジョン」が掲げられていました。そこには、環境問題・貧困問題をはじめとする世界の諸問題は、すべて自分たちが金融の力で解決できるのだと言わんばかりの内容が述べられていたのです。その楽観的な展望は、今から見れば傲慢とも、能天気とも思えるものでした。

当時、UBSは、アメリカ流の投資銀行業務に邁進していました。

 

UBSの「S」とはSwitzerlandに由来していますから、「スイス銀行」とはUBSのことだと思っている人もいたほどです。けれども、それはもはやスイスのローカルな銀行ではなく、米英流の投資銀行業務に軸足を置いたグローバルバンクであったのです。自己資金で果敢にリスクをとっていくさまは、勇ましくもありましたが、同時に「スイスらしくない」と思わざるを得ないものでした。

金融危機が世界を襲ったのは、そのわずか1年後のことでした。

この危機の中、UBSはどんなビジョンを示してくれるのだろうと、年次報告書を読むのを楽しみにしていました。

ところが、以前のものとは打って変わって、危機以後の報告書は、財務諸表とその注だけの実に素っ気ないもので、ちょっとがっかりしたのを覚えています。

アメリカ流の投資銀行業務に入れ込みすぎたUBSはスイス政府から公的資金の注入を受ける事態となり、「金融立国スイス」の危機が日本でも報じられたものです。その「反省の念」が、いくらかでも表明されるのではないかと期待していたのですが。

 

とはいえ、スイスの金融界はほどなく回復し、UBSに注入した公的資金によってスイス政府はかえって利益を得るほどであったということです。

しかし、だからといって、UBSの「アメリカ流のやりかた」が結局は正しかったのだ、と思うのは早計でしょう。

スイスの金融界を支えるのは著名な大銀行だけではありません。むしろ大銀行以上に、その強さのみなもとが存在しており、金融危機に際しても、そのしたたかな実力を見せ付けていたからです。

このスイス金融界の強さの秘密とは、伝統的なプライベートバンクの存在です。

 

アメリカ流の投資銀行とは対照的に、スイスの伝統的なプライベートバンクでは、自己資金でリスクのある投資などはしません。収益の中心は、顧客の資産運用とそれに伴う顧客サービスの手数料です。

スイスのプライベートバンクでは、もともとは経営者が無限責任をとっていたこともあり、経営のリスクを最小化する方向でビジネス・モデルを発展させてきました。現在は多くのプライベートバンクが株式会社となり、無限責任制をとる銀行はわずかですが、プライベートバンクのビジネス・モデルは変わっていません。

大手銀行がアメリカ化するのをよそに、中小のプライベートバンクがスイスらしさを失わなかったからこそ、スイス銀行界はその強さを保っているのです。

 

*当サイトでは、日本語の通じるスイス銀行(プライベートバンク)の口座開設について、無料でご相談を承っております。口座開設されたお客様には、スイス、リヒテンシュタイン等での長期滞在、移住、ご子弟の教育などに関するご相談にも応じています。(詳しくは、こちら)