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シティバンクが個人金融部門を売却

その1

 

 

 

パーソナルバンキングから完全撤退

 報道によれば、シティバンクの日本法人が個人金融部門を売却する方針を表明したものの、なかなか買い手が付かないのだという。とくに日本の大手銀行が買収に難色を示しているらしい。

 シティバンクといえば金融庁の処分を受けてプライベートバンキングから撤退したことを覚えておられる方も多いだろう。サブプライム問題、リーマン・ショックなどで評判を落としたことも記憶に新しい。だが、かねてより「リテール・バンキング」をビジネスの中心に据え、邦銀では真似のできないサービスを展開してきた同行がパーソナルバンキングから完全撤退すれば、日本の金融サービスの世界に大きな穴があいてしまうことは否めない。

 

「金融難民」となる日本人

 すなわち、もし売却先が外資系金融機関でなく大手邦銀になったとしたら、これまでシティバンクが提供してきたサービスを継続できるとは、まず期待できないだろう。これは、シティバンクの撤退によって、これまで同行が提供してきたサービスのいくつかが日本から消えてなくなることを意味する。これまで当たり前のように同行のサービスに頼って生活してきた人たちが、日本のどの銀行に行っても同様のサービスを受けることができなくなる、いわば「難民化」する事態が予想されるのだ。

 

 

日本は、海外金融機関から見捨てられたのか

 これは、ある意味で、シティバンクが日本の顧客と市場を見捨てたということである。

 実は、外資系銀行の日本からの撤退は今に始まったことではない。金融ビッグバンと言われて以来、千数百兆円と言われる日本の個人金融資産に期待して日本市場に参入した海外銀行の多くは、すでに撤退している。海外銀行にとって、日本は「儲からない市場」とみなされているのだ。(従って、外資系銀行がシティバンクの買収に応じる可能性も高くはない。)

その大きな理由として、日本では銀行法等のしばりがきつく、自由なビジネスが展開できないことがある。かつてシティバンクが金融庁の処分を受けたのもそのためだった。かくしてドル箱のプライベートバンキングから撤退せざるを得なかった同行ではあるが、がんじがらめの規制の範囲内で、できるかぎりの努力はしていた。近年は、個人金融部門が中心となって教科書的な投資指南書をいくつも出版し、日本人が為替取引や国際分散投資、オルタナティブ投資に目を向けるように啓蒙活動をさかんに行なっていたようだ。言うまでもなく、そこが海外銀行の得意分野だからである。

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