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番号口座(ナンバー・アカウント)について

 

 

 スイスの銀行の特徴的なサービスのひとつに、いわゆる「番号口座(ナンバー・アカウント)」があります。これは、銀行が口座を管理するさいに、顧客名を用いず、番号(暗号のようなもの)によって管理することをいいます。顧客の秘密を守ることを目的として、スイスのプライベートバンクでは一般的に用いられている方法です。

 鉄壁とも言われるスイスの銀行の高度な秘密性は、厳格で知られるスイス銀行法のほか、この「番号口座(ナンバー・アカウント)」によるところが大きいと言えます。また、これがスパイ小説に出てくる「スイス銀行の秘密口座」といったモチーフの源であり、スイスの銀行の何やら神秘めいたイメージの一因となっていることは否定できないでしょう。

 

けれども、番号口座はスイスでは特に珍しいものではなく、実際には「秘密口座」でもなければ、「匿名口座」でもありません。

 実は、「番号口座(ナンバー・アカウント)」とは、銀行の外部に対して口座の存在を秘匿することが目的であるというよりも、銀行の内部において、顧客情報にアクセスできる職員を制限することに重点があります。すなわち、銀行の内部管理体制を厳格化する必要から採用されている方式なのです。

 そう言うと「なんだ、その程度のことか」と思われるかも知れませんが、これはプライベートバンキングにとって極めて重要な論点を含んでいます。

 

 それというのも、あらためて考えてみると、「番号口座(ナンバー・アカウント)」によって管理されていない顧客情報には、原則としてその銀行の職員であれば誰でもアクセスし得るということに気づくからです。

 例えば日本では、銀行や証券会社である程度以上の金額を運用していると、ときどき「ごあいさつ」と称して担当者以外の人から電話がかかって来たり、商品を奨められたりすることがあります。このような営業スタイルは、顧客情報が番号口座で管理されていないからこそ可能になるものでしょう。

 

 プライベートバンキングとは、基本的にはプライベートバンカーが顧客資産の全容を把握した上で運用上の助言などを与えるビジネス・モデルです。もしこれが番号口座で管理されていなかったとしたらどうなるでしょうか。

例えば、法人部門と個人部門のあるメガバンクであれば、これは、会社のオーナー経営者の個人資産の全容が法人部門に筒抜けになってしまうことを意味するのです。そうなれば、会社オーナーは完全に手の内を知られたも同然です。資産に余力があると見られれば銀行は要らない融資を押し込んで来るし、反対に「余力がない」と思われたら貸し剥がしにあうかも知れません。

顧客資産をそのような危険にさらしておきながら、「プライベートバンキング」を標榜するのは不実極まりないと言うべきではないでしょうか。

 日本の銀行では、反対に法人部門に口座があれば、個人部門からオーナー経営者に対してセールスをかけて来ることもあります。そうやって個人部門に口座ができれば、その情報が法人部門に共有されるでしょう。「番号口座」であれば、あり得ないことです。

 

 これに関連して、最近、非常に残念な事件がありました。

 『週刊文春』(2013829日号)の記事によれば、日本のあるメガバンクの行員が、同僚の行員やその友人とともに、担当していた当時79歳の女性から4億円もの資産を詐取したというのです。資産家であった女性は、まさに身ぐるみを剥がれ、生活の糧さえも失いました。

 まさに目を覆いたくなるような不祥事です。日本の銀行のモラルも地に堕ちたと言うべきでしょう。

 

もし日本の銀行にもスイスと同様の「番号口座(ナンバー・アカウント)」があり、銀行職員といえども顧客情報へのアクセスが厳格に制限されていたとしたら、このような悲劇は起こらなかったでしょう。また、万一、起こったとしても被害額は限定的であったと考えられます。

というのは、伝えられた事件の経緯からみて、顧客情報が担当者以外の行員に渡らなければ、被害は単なる投資の失敗の範囲に止まった可能性もあるからです。

 

 このように考えると、「番号口座(ナンバー・アカウント)」とは、財産を秘匿するためのものというよりは、財産の安全性を高めるためのものであって、プライベートバンキングにとって必須の条件の一つと言っても過言ではないでしょう。

従って、「番号口座」が制度化されていない国や地域では、「プライベートバンキング」と言っても、そのレベルは知れていると言うべきです。

 

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