[HOME]
[緊急 香港に銀行口座をお持ちの方へ]
オフショア市場のあやうさ
「オフショア金融センター」とは何か
ひと頃、「オフショア金融センター」の銀行に口座を開くのが流行したことがあった。イギリス近海のジャージー島やガーンジー島などに本拠を置く銀行に口座を開き、米ドル建ての投資ファンドなどを買うのである。
この場合の「オフショア金融センター」とは、かなりあいまいな概念だ。共通しているのは、比較的小国であること、投資等のリターンにかかる税金が低税率もしくは無税であるため、大小の金融機関やその子会社、ファンドなどが多く籍を置いていることくらいである。だが、そうなると前述のジャージー島、ガーンジー島、マン島、ケイマン諸島、英領ヴァージン諸島などだけでなく、モナコ、リヒテンシュタイン、香港、場合によってはルクセンブルクやシンガポール、スイスまでもが「オフショア金融センター」ということになってしまう。
確かに、低税率の魅力は大きい。複利運用のファンドなどであれば、リターンにかかるわずかな税率の差が、後になって運用益の大きな差となって表れるからだ。
しかし、だからといって、人口わずか数万の小島と、スイスのような金融大国を同列に論じていいものではない。
スイスは「オフショア金融センター」か
実は、「オフショア金融センター」の定義としては、もう一つの重要なポイントがある。
それは、「オフショア金融センターには中央銀行がない」というものだ。
だとすれば、スイスは明らかに「オフショア金融センター」ではない。なぜなら、スイスには独自の通貨と中央銀行が存在し、金融政策上大きな役割を果たしているのは明白だからだ。
この定義に従えば、中央銀行が存在せず、従って一応独立国らしき体裁はありながら独自の通貨がなく、他国の金融政策に依存しているのが狭い意味での「オフショア金融センター」ということになる。ジャージー島、ガーンジー島、マン島、モナコ、リヒテンシュタインなどがそうである。
「オフショア金融センター」のあやうさ
サブプライム・ショック、リーマン・ショックに続く金融危機に対処する上で、米国のFRB、ヨーロッパ中央銀行などの果たした役割は甚大であった。もし、再度そのような危機が生じ、その震源地が上記のような「オフショア金融センター」であったとすれば、中央銀行のない彼らは、一体どのようにして危機に対処できるのだろうか。その意味で、中央銀行の存在を欠いた「オフショア金融センター」に一抹の不安を覚える人がいても決して不思議ではない。
「オフショア金融センター」のもう一つの不安材料は、国(地域)の経済規模と比較しての金融セクターの大きさだ。
金融危機に際して、スイス政府が公的資金を注入して世界屈指の大銀行であるUBSを救済できたのも、スイスには人口と地場産業があり、国民経済が一定以上の規模であったからである。この救済策によって後にスイス政府は巨額の利益を得たそうだが、当初はギリギリの賭けであったはずだ。人口数万から数十万程度の小島や都市国家である「オフショア金融センター」には、とても真似のできないことではないだろうか。
スイスとシンガポールの違い
近年成長著しいシンガポールは、「オフショア金融センター」とスイスの中間のような位置付けになる。独自通貨と中央銀行はあるが、気になるのは国家としての歴史の短さ、そして都市国家であることだろう。海に浮かんだ都市国家では、有事の際に飲料水を確保することさえ容易ではないかも知れない。有能な人材を世界から集めることに長けているとされるが、そういった人材は研究やキャリアに都合がいいから来ているだけであり、もっと良い場所がほかにあればすぐに出ていく「腰かけ」にすぎない。愛国心や忠誠心など、とても期待できるものではない。
スイスなどと異なり、シンガポールが国家として真に成功するか否かは、いまだ未知数だというべきだろう。
*当サイトでは、日本語の通じるスイス銀行(プライベートバンク)の口座開設について、無料でご相談を承っております。口座開設されたお客様には、スイス、リヒテンシュタイン等での長期滞在、移住、ご子弟の教育などに関するご相談にも応じています。(詳しくは、こちら)