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プライベートバンキングとは何か?
いきなり金融とは関係のなさそうな話で恐縮ですが・・・言うまでもなく、「武士」や「さむらい」とは日本独特のものです。
これが単なる「warrior (戦士)」のように思われて、世界中から「わが国にもサムライがいた」なんて言われたとしたら、ちょっと変な感じがするでしょう。
実は、これと同じようなことが、金融の世界でも起こっています。
それは、「プライベートバンク」、「プライベートバンキング」という言葉に関することです。日本では、近年、これらに関する目を覆いたくなるような誤解が蔓延しているのです。
話を戻すと、「武士」とは、日本の歴史と文化のなかで形成された日本固有のもので、戦場に出て弓を射たり剣を振り回したりしていれば、どこ国の誰でも「サムライ」と呼べるわけではありません。
それと同じように、「プライベートバンク」や「プライベートバンキング」も、スイスの歴史と文化の中でこそ確立されたものであって、歴史的・文化的な背景の異なる地域に容易に移植されるものではないのです。それなのに、日本では、「主として富裕層を対象とするポートフォリオ・マネジメント・サービス」という最大公約数的な共通点があるだけで、「プライベートバンク」、「プライベートバンキング」と呼ばれてしまいますし、そういう名前を冠した団体や会社も散見されます。
けれども、そのような会社が実際にやっていることを、スイスのプライベートバンク関係者が見たとしたら、目を丸くすることばかりではないでしょうか。「こんなものは、プライベートバンキングではない」と言われることは、間違いありません。
それでは、「プライベートバンキング」とは、とりわけ「本物」から見て文句の付けようのない「プライベートバンキング」とは何でしょうか。
その辞書的な定義はともかくとして、これをわかりやすい言葉で述べるのは、そう簡単なことではありません。
ただ言えることは、「武士道精神」を欠いていては日本のサムライとは言えないように、プライベートバンキングもその表面を真似するだけでは「真のプライベートバンキング」とは言えないということです。
「真のプライベートバンキング」について知ろうとするなら、おそらくは新渡戸稲造が『武士道』を著したのと同じような視点からプライベートバンキングの精神を論じた書物が必要となるでしょう。寡聞にして、そのような書物の存在を知りません。
ただし、歴史を紐解くならば、戦乱に明け暮れた近世のヨーロッパで、スイスが「傭兵」の供給国であったという事実に、そのヒントが隠されているようです。
「傭兵」と「銀行」という一見つながりにくいものを結び付けているのが「プライベートバンキングの精神」だというのです。
それというのも、見ず知らずの国とその君主(領主)のために身命を賭して戦うのが傭兵であり、そのモラルでありました。その根拠となるのは、君主への忠誠心ではなく、「契約に対する誠実」です。契約さえあれば、どこの国へも行き、誰のためにも戦う。スイスの傭兵の勇敢さは、当時ヨーロッパで有名でした。バチカンにあるローマ教皇庁の衛兵が現在もスイス人であるのは、その名残りなのです。
君主への忠誠のためではなく、「契約への誠実」のために生命を賭ける。その感覚は、日本人にはどうにも理解しがたく、共感もできないかも知れません。多くの日本人にとって、契約など「ただの紙切れ」にすぎないからです。けれども、その「ただの紙切れ」への誠実を貫き通した名もない兵士たちがあったからこそ、スイスは国際的な信用を得ることができたのでした。
その精神を銀行業のかたちで受け継いでいるのがスイスのプライベートバンキングなのです。「見ず知らずの他人(外国人)に対して誠実であれ」というのがプライベートバンクのモラルです。実際、初期のプライベートバンクの重要な業務に、傭兵たちが国外から送金する資金の管理と運用がありました。傭兵の供給国としてのスイスの歴史と、プライベートバンキングの歴史とは、分かち難く結び付いているのです。
そう考えると、スイスという国はヨーロッパのなかでも特異な歴史があって、プライベートバンキングとはその歴史的背景あってこそ生まれたものだということがわかります。これを、歴史的・文化的背景がまるで異なる日本のような国に移植することの困難さは、想像が付くのではないでしょうか。
実際、日本におけるプライベートバンキングの一般的なイメージは、「おもてなしの心」になりつつあるようです。コンシェルジュ・サービスの金融版といった感じでしょう。
「おもてなし」が日本人の美徳の一つであることは確かです。けれども、「おもてなし」は「たまに来るお客様」のためのものであって、継続的な契約関係への誠実さとは関わりが薄いように思われます。
これは、生命を賭して契約に誠実たらんとした傭兵の精神=プライベートバンキングとは全く別のものだと言うべきでしょう。
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