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プライベートバンクがしてはならないこと

 

 日本では「プライベートバンク」と称する業者に資産を運用させたら、勝手にハイリスク運用をされて大幅な損失が出た、という話を聞くことがあります。

本当に悪夢のような話です。こうなる前に、怪しい業者を見抜く方法はないものでしょうか。

 実は、日本では「プライベートバンク」「プライベートバンキング」の看板を掲げていながら、それとは真逆なことをしている業者が多いのです。

「プライベートバンク」「プライベートバンキング」とはスイスの歴史・文化的背景あってのもので、それを欠いては本物になり得ません。だとすれば、「本物」を得るにはスイスに行くのが一番簡単です。けれども、日本国内でのサービスを希望される方もいるわけですから、日本の業者も「本物」に近づく努力くらいはしてもらいたいもの。

以下、「これをやったら(本物の)プライベートバンクではない」という禁じ手の一覧です。ご検討中の業者がこれらに当てはまるようなら、資産の保全のために避けられたほうが賢明です。

 

1. 著書の出版

 社長が詩や小説を書いていてもいいです。けれども、「プライベートバンキング」「日本国債暴落」「国家破産」などをテーマにした著書がある場合は、要注意です。自分をその分野の権威に見せかけたり、顧客の不安を煽ってビジネスにつなげる意図が伺われるからです。

 とりわけ怪しいのが、いかにもスイスのプライベートバンク事情に詳しいかのように書かれた本を出している場合です。

もし、著者が本当にプライベートバンク関係者であれば、退職後であってもスイス銀行法と秘密保持契約が適用されるはずですから、そのような著書は違法、契約違反となるか、少なくとも信義則違反となる可能性が高いといえます。

反対に、著者が実際はプライベートバンクのインサイダーではないなら、読者に対して嘘をついていることになるでしょう。

結局、どちらかの信頼を裏切っているわけですから、そういう著者が次に裏切るのが「顧客の信頼」であったとしても、何の不思議もありません。

 

2. 業者との面談

 プライベートバンクの口座開設を検討しておられる場合は、複数の業者と接触されることも多いだろうと思われます。そこで「あの業者(銀行)はこうでしたが、お宅はどうですか」という話になることも多いでしょう。

 そのように、業者にとってお客様は他の業者に関する情報源でもあります。けれども、お客様に守秘義務がないことを逆手にとって、あまり根掘り葉掘り聞こうとするのは考えものです。ひどい場合は、そういう伝聞に基づく不正確な情報をブログなどで公開する業者がいます。さらに悪質な業者になると、顧客を装って他業者や銀行に接触することさえあるようです。

 これは人としての品性・モラルに悖る行為であって、そのようなことをしている業者は、たとえ今はおとなしそうにしていても将来何をするか知れたものではありません。

業者との面談、ブログ、メールマガジンなどでそのような気配が見えたら、直ちに関係を解消することをおすすめします。

 

3. セミナー

 日本のコンサルタントはやたら「セミナー」で集客したがりますが、本物のプライベートバンクであれば、そんなことはしません。

 スイスのプライベートバンクは、なるべく人目につかないところに事務所を置き、アポイントなしでは人と会わないなど、顧客同士が不用意に顔を合わせないようにしています。それが顧客の秘密保持につながるからです。「セミナー」と称して潜在顧客を集会室に集め、お互いの顔が見える距離に座らせるなど、もってのほかです。実際、セミナーでは他の業者が紛れ込んでいる場合も多く、終了後に営業をかけてくることもあります。

 本物のプライベートバンクがするのは「個別の面談」であり、セミナーではないことを覚えておいて下さい。

 

4. 派手な宣伝

 なるべく人目につかないようにしてこそ、「プライベートバンク」だと言えます。それがプライベートバンクの「プライベート(非公開)」たるゆえんだからです。だとすれば、派手な宣伝などあり得ない行為だと言えるでしょう。

真のプライベートバンクが派手な宣伝をして、自らを大衆化しようなどと考えるわけがありません。そんなことをすれば、もはやプライベートバンクではなくなってしまうのですから。

 

 このほか、日本では現在でもプライベートバンクの口座開設を有料で代行する業者があります。多くの銀行では日本語が通じないことに乗じたサービスであると思いますが、このようなサービスをいったん利用してしまうと、口座開設時だけでなく、事あるごとに手数料をとられることになります。そうなると、スイスでの運用利回りがどれほど優れているとしても、利益の大半が業者に掠め取られ、場合によってはマイナス金利という結果になりかねません。口座を開くだけで手数料をとる業者には近づかないほうが賢明です。

 

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